ランカーって言葉を日本に持ち込んだのは則さんだと思う。フィッシング誌でトップウォーターの特集をやったときだ。その記事では(その頃はよく理解できていなかったが)大物という意味で使われていたと思う。年間ランキングに入るような大物=ランカーであったと思う。
その後何年かして、何かのテレビかビデオかで「これはランカーあるな」という言い方を聞いた。そして続いて観ているとどうも、50cmを超えることをランカーと呼んでいるようだ。言葉は変わるモノだし、上から否定はしないが、何だかなぁと思う。
で、私が初めて“大物”と呼べるバスは、大学4年の春先に釣ったモノだった。
水産大学で、船乗り課程を専攻していた自分は、4年卒業後、専攻科という課程に進学が決まっていた。専攻科に進学する者は、大学4年の冬に4ヶ月の乗船実習がある。シンガポール、ペナンと周り帰国したのが、春先であった。
帰国するやいなや、釣り友から、「千葉のリザーバーでむちゃくちゃ釣れるところを見つけた、行かないか?」と誘われた。もちろん即OKで釣行となった。
千葉市にわりと街に近い、丘の中にそのリザーバーはあった。その日は春の暖かい雨がポツポツ降っていて、釣り日和大物日和であった。
その頃より日本では“ゲーリーグラブ”が大爆発していた。4インチのグラブにそれなりのジグヘッドで泳がす釣りは、それまでのスライダーワームの飛ばない、引いてる感無いと言う頼りない釣りではなく、よく飛び、引き感もある、へたくそバサーには実に使いやすいアイテムだった。日本に帰ってきて、それを知り、早速いくつか持って行っていた。
その日は、入るなり、イイ型(35クラス)のバスが、それこそ入れ食いのように釣れた。そして、ヘッドもグラブもなくなり、プラグではあまり釣れなくなっていた。
最後に、放水口のポイントに入った。友人はそこでもグラブでほぼ入れ食いで、自分はスピナベなどにたまにヒットがある程度で悔しい思いをしていた。
タックルボックスを見ると、グラブ用ではないでかいジグヘッドがふと目に入り、その横に、チャートリュースのツインテールフラグラブがあった。ゲーリーのグラブは大人気でなかなか入手できず、これだけは余るように並んでいた。しゃぁなしで買った1袋であった。仕方がないので、デカジグヘッドにツインテールフラグラブを刺し、放水口の流れの先にドボンと投入した。4インチグラブなら中層をスイミングさせるところだが、このヘッドは重すぎて、すぐにボトムについた。なので、ボトムをチョンチョンと飛ぶようなアクション(ボトムパンピング)させながら引いてきた。ほぼ手元に来たとき、ちょんと跳ね上げるとグッと手応えがあった。そしてもの凄い引きが伝わってきた。慌てて取り込みに入る。ややあって浮いてきた魚は、これまで見たことのない大きさ。もうビビリながらハンドランディングするが、持ち上げるときに重かった重かった。口もデカイ。横にいた友達もビックリ。メジャーで測ってみると、48cm。デカイデカイ、こんなの初めて釣った。50には足りないけど、スゲー!
その日はその後何をしたか記憶はないが、満足して帰ったに違いない。