初めてフロッグで釣ったこと

十市の池に通い出して何年目だろう、その頃の十市は池の畔をハスが埋め尽くし、岸からやれるところに水面はほとんど無かった。そしてハスの葉の下には藻が茂っていた。
こういうところでは今ならフロッグをメーンに使うのだろうけど、その頃“フロッグ”として売られていたのは、スナッグプルーフガルシアフロッグハリスンスーパーフロッグかへるくんくらいのモノで、日本でフロッグを使ってる人なんてほとんど居なかったと思っている。
自分もなんだか自信が持てなくて、フロッグを使わずにいた。その日までは。
わずかに残った水面をトップで釣ったりしていたが、毎回のように藻が引っ掛かってくるし、一番釣れそうなハスの葉の下では使えないし、イライラがつのっていた。
とある場所に来たとき、不意に「フロッグ使ってみよ」と思い立ち、ベイトタックルの先にスナッグプルーフのフロッグを結んでキャストした。

・・・・ら、いきなりバックラッシュ。フロッグはかなり手前にポトリと落ちた。バックラッシュはかなり酷く、解くのに時間がかかっていた。それももうほどけ終わった頃、「ドッカ~~ン」とまさにそんな音がした。なんだなんだと思ったが、どうもフロッグの落ちた辺りらしい。フロッグも見当たらない。何となくリールを巻き糸が張ったところで大アワセをくれた。(もしかしたらバスが出たのかっていうスケベ根性丸出しで・・・)そしたら重みが乗り、バスの引きが来た。もう無我夢中で、引き寄せると、藻の塊がこっちに来た。手元に寄せ、藻をほどいていくと、中からデカいバスが現れた。計ると48cm。それまで苦労していたのに、簡単にデカいのが釣れちゃった。

その日はフロッグを使い続け、5本、すべて40を超えるバスをキャッチできた。釣りを終え、フロッグを見ると、頭が裂け、そのままでは使用不可の状態。その足でランカーに寄り、フロッグを3つほど追加すると、「十市ですか?」と聞かれた。「はい、今日初めてフロッグで釣れました。」と何か誇らしい気持ちになれた。

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